アメリカの鉄道アムトラック「カリフォルニアゼファー号」はサンフランシスコとシカゴを結ぶ長距離列車。コロラド渓谷を越えてロッキー山脈の麓を走る絶景ルートを2泊3日で走る。年の瀬にこのカリフォルニアゼファー号にサンフランシスコからデンバーまで乗車した。
December 28 San Francisco
滞在していたサンフランシスコダウンタウンのホテルをチェックアウトしたのは朝7時。明るみ始めた空を仰ぎながら徒歩でアムトラックのオフィスがあるフェリーターミナルに向かった。早朝の街は人はまばらで路線バスや車だけがせわしなく走っていた。
今日はアムトラック「カリフォルニアゼファー号」に乗る。今回の旅の一番のハイライトだ。
アムトラックの駅はサンフランシスコ市内にはなく、対岸オークランド側のエメリービルという街にある。サンフランシスコからはフェリーターミナルの傍にあるアムトラックのオフィスからエメリービル行きのバスが列車の時刻に合わせて出ているので私はこれに乗った。
ここで思いがけない光景を目にする。
昇る朝日をバックにしたサンフランシスコブリッジだ。
きっと今日は素晴らしい一日。
バスは7時50分に出発。サンフランシスコブリッジを渡り対岸の街へ。エメリービル駅へはほんの30分ほどで到着した。
駅舎は近代的な建物だけど小さくてシンプル。中に入ると右手にチケット窓口が並び、左側には小さなカフェ&売店があるだけ。売店の壁に注意書きがあった。
「カリフォルニアゼファー号では初日の朝食サービスはないので、ここで食べてください」
とのこと。私の朝食はホテルにあったセルフサービスの朝食コーナーからもらってきたパンがある。
ところで以前ロスで初めてアムトラックに乗った時、乗車前にチェックイン手続きがあり座席札をもらったのだが、どこでチェックインをするのだろうかとあたりをきょろきょろ。周りをみてもそれらしき手続きをしている人も係員もいない。うーん、まぁ、まわりに合わせていれば大丈夫かな。
出発間近の9時前になってアナウンスが入りみんながぞろぞろと外へ出るのに従った。もうすぐ来るのかな?
駅ホームはレールと同じ高さで日本とは異なるのだね。今日も素晴らしい快晴だ。
ところでカリフォルニアゼファー号はここが始発。10分前になってもきていないなんてちょっと遅いよね。遅れているのかなとちょっと心配になったところで、列車がホームに入ってきました。きたー!
二階建てダブルデッカーの車両は近くで見るとほんとにでっかい!さすがアメリカン。乗客が一斉に乗り始めます。
でもどこに乗っていいのかわからないよ?
とりあえずみんなが進むほうについていく。どうやら先頭のほうがコーチ(座席)車両のようだ。コーチ車両は4つくらいあるみたいでやっぱりどこに乗っていいのかわからないから入口に立っていた女性の係員にチケットを見せて訪ねてみたら「ここに乗ってどうぞ」と促されたので乗り込みました。係員は手に座席札を持っていたけど特に渡されることもなく、勝手がわからないぞ~と思ったけれど、乗ってみてわかりました。
車内、ガラガラ。好きなところに座り放題のようです。
前回ロスで乗ったアムトラックサンセットリミテッド号はすごい混雑でほぼ満席だったからあえて座席を決めていたんだろうね。アムトラックは基本、自由席のようです。
これだけガラガラだとどこに陣取るかまよっちゃう♪景色がいいのは左なのか右なのか。地図で見る限りではロッキー山脈が見えるのは進行方向左のはず!っと左側の一番窓が広く見える席を確保しました。(後日談:ロッキー山脈は左方向ですが、結局右も左も絶景でした)
アムトラックは乗ってすぐに動き出しました。
さぁ、デンバーまで1泊2日の列車の旅の始まりです!
▼一番左「Emeryville」から、真ん中の「Denver」まで乗ります。
エメリービルを出てしばらくすると進行方向左側に広大な湖が広がる風景になった。地図を見ると湖ではなく湾のようだ。
席でじっとしているのもつまらないので、アムトラック車内を散策しよう。向かうはラウンジカー。ここラウンジカーは誰でも自由に使えるフリースペースで座先車両よりも窓が大きく明るく開放的で景色を楽しめる。私が一番好きな場所だ。
ラウンジカーの中心にある階段をおりて1階にいくと売店がある。ここでは飲み物や軽食を買うことができる。
せっかくなので何か買おう♪購入したのは暖かいコーヒー($2)とシナモンロール($2.75)。
ラウンジカーで景色を楽しみながら朝食タイム。
エメリービルを出てから湾を越えて大草原を抜けてまず停車してのは大きな町サクラメント。ここがカリフォルニア州の州都だということは意外と知られていない。
それからさらに走ること3時間半の15時前、トラッキーという小さな街に停車した。
「なんだか魅力的な街だなぁ」
窓から見えるトラッキーの街はウエスタン風の趣ある風情です。手持ちのスマホで調べてみたところ、やはりインディアンにゆかりのある地のようでした。
ここでは降りる人もいれば乗ってくる客もいて、空いていた私の隣席にはトレンチコートを着たヒゲのおじいさんが座りました。
トラッキーを出てトラッキー川に沿って山の中を走ること1時間ほど、次に停車したのはネバダ州に入ってすぐの大きな町リノ。ここリノはラスベガスに並ぶ商業・カジノの街として有名だ。停車時間も長い。トラッキーで乗ってきた隣席のひげおじいさんはここでもう降りてゆきました。日常の交通手段として使っているのかな。
アムトラック食堂車でのディナー
今回必ずやろうと思っていたこと「食堂車でのディナー」。鉄道の旅情緒まんたんの食堂車ディナーを一度でいいから体験したかった。
記憶ではアムトラックの食堂車は基本予約制。夕方になると各車両に予約希望者はいないか聞きに来てくれるはずなのだが、待てど暮らせどくる気配がない。そこで直接食堂車(ダイニングカー)に行ってみるとすでにディナータイムは始まっているもよう。
「すいませーん、今OKですか?1人なんですけど」
忙しろうに動き回っているウエイトレスを呼び止めて尋ねた。
「えぇ、大丈夫よ。そちらの席にどうぞ」
案内された席にはすでにご年配のご夫婦が座っていました。席に限りがあるダイニングカーでは基本相席。
「こんにちは、失礼しまーす!」
さっそくメニューを開きます。バリエーションは多くはありません。
・ベジタリアン パスタ $15
・ハーブローストチキン $15.75
・ヘルシーメニューオプション $16.75
・チーフ イブニングマーケットスペシャル(本日はポークリブとのこと) $19.75
・アムトラック シグネチャマリーランドスタイル クラブケーキ $21.75
・ブッチャーズカット チョイス ステーキ $25.75
メニューを読解しようとにらめっこしているとお向かいのご夫婦が丁寧に説明してくれました。
イブニングマーケットスペシャルのポークが気になったけれど、やっぱアメリカに来たら一度はステーキ食べとかなきゃでしょ。この後食べる機会なさそうだしってことで、フンパツしてステーキを注文。焼き加減を聞かれ「ミディアム」で、付け合せのジャガイモは「フライ・マッシュ・グリル」が選べるとのことでマッシュをお願いしました。相席のおじいさんもステーキ、おばあさんはクラブケーキ。彼らは寝台車のゲストとのことで夕食はチケット代に込まれていて注文方法が異なるようでした。
どれを頼んでもグリーンサラダとパンとコーヒーはセットになっているようでまずはサラダとコーヒーが運ばれてきました。お皿は軽いプラスチックでできていてすべてにAmtrakのロゴが入っています。
そしてメインのステーキです。
肉厚のステーキ!アメリカにしては思ったほどボリュームがなくて安心。これなら食べきれそうです。付け合せのジャガイモはおじいさんのグリルがおいしそう~。
食後にデザートはいかがと聞かれ、おなかいっぱいだったのだけど、ご夫婦につられて頼んでしまいました。チーズケーキのブルーベリーソースかけ♪
大満足ディナーのお会計はしめて31ドル。ちょっと贅沢なディナーでした。チップ含め35ドルを置いて食堂車をでました。
窓の外はもう真っ暗。おやすみなさい!
明日はいよいよ絶景のコロラド渓谷とロッキーマウンテンです。
【コラム】アムトラックのシート アムトラックのシートはかなりゆとり あるシートピッチです。飛行機のビジネスクラス並みかそれ以上。 リクライニングもかなり倒れるので、飛行機みたいに窮屈さはぜんぜん感じません。ピッチが広いので倒しても後ろの人にあまり影響もありません。 フットレストもついていて足を伸ばすこともできます。 また各席にはコンセントもあります。パソコンもアイフォンも充電の心配は不要。(車体によって隔席の場合もある) |
隣の席が空いていたらラッキー。さらに広く快適です。席ふたつ使えば横になることもできちゃいます。
実際に私の隣は空いているので、横になりながらこれを書いています。(膝を立てる感じで)
らっくちん。
只今深夜1:30。ライトも落とされとても静か。静寂のなかに、ガタンゴトンと列車の走る音だけが響きます。
メインの二階席は窓も大きく景色を楽しめる。
一階にも席がありますが、数が少なくすぐに予約で一杯になります。なぜか人気?
車内は少し肌寒い。お客さんのなかには、マイまくらや布団を持ち込んでいる達人もいます。
大きめの厚手のストールが大活躍。ダウンを布団代わりに就寝です。
Good night!
明日も素晴らしい一日でありますように。
停車時間があったので外に出てアムトラック全体の車両編成を確認しました。私が乗っているカリフォルニアゼファー号は7両編成+機関車2です。
前方から機関車2+コーチ席(座席)3両+ラウンジカー+食堂車+寝台車2両となっていました。食堂車&ラウンジカーを境に寝台車とコーチとに分かれている。私がいるのはラウンジカーすぐ隣のコーチ車両。ラウンジカーにすぐに出られて便利です。
全ての車両は基本的に2階で繋がっていなす。食堂車は二階が客席で一階が調理場になっています。ラウンジカーは一階に売店とテーブル席がある。
December 29
深夜1時。まどろみの中、アムトラックが停車したことに気が付き窓の外をみた。駅のようだ。
ソルトレイクシティ。
しばらく停車したのちに出発した。
次に目が覚めたのは6時過ぎ。徐々に明るみ始める空とともに暗闇の中にあった風景がくっきりとしてくる。
席を離れてラウンジカーに移動した。
日の出だ。
永遠と続くアメリカの広大な大地
サンフランシスコをでて丸一日、ずいぶん遠くまで来た。
朝食を取りにダイニングカーへ。案内された席はやはり相席。パンケーキを頼む。
今までの人生で一番、贅沢なブレックファーストに間違いない。
広大な大地、コロラド川の渓流、ローカルな駅、
車窓風景は飽きることなく。
ランチは売店で買った2.5ドルのカップめん。最高の景色はカップめんでさえ最高のグルメにしてくれちゃう。
売店はラウンジカーの1階にあって、ここにも狭いけれどテーブルとイスがある。
そこでカップめんをすすっていると、気さくに声をかけられた。彼はアントン。同じ鉄道で長旅をしていると顔見知りになる。
15:30フレイザーという町でで停車した。アムトラックを降りてみた。
ピシャリとした空気がほほにあたる。雪深い小さな町。
アムトラックは再び出発し、二日目の夕方を迎える。
デンバーまであと少し。
Travel root Map:
赤いラインが陸路移動(アムトラック&バス)、青いラインが空路移動。
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